今回ご紹介するのは、一本のアンティーク名古屋帯からアップサイクルした四つの作品です。
利休バッグ、2wayミニクラッチバッグ、半月型数珠入れ、ファスナー小物入れポーチ。
もともとは一本の帯だったものが、形を変えながら、現代の暮らしの中で単身でいただける小物へと生まれ変わりました。
白地を背景に、ひときわ目を惹く華やかな赤の雲取文様。
そのなかには牡丹や菊など季節の花々、そして吉祥文様が繊細は刺繍や金彩を交えながら描かれています。
思わず息を呑むほど美しい、ノスタルジックで大胆な配色。
赤、白、金彩が織りなす鮮やかなコントラストには、大正ロマンを思わせる華やかな色彩感覚と、昭和初期にかけて好まれた躍動感あふれる衣装の魅力を感じられます。
当時の女性たちにとって、こうした華やかで贅沢な帯は、装いを彩るだけではなく、その時代ならではの美意識を楽しむものであったのではないでしょうか。特に心惹かれるのは、ふっくらとした手刺繍の立体感です。
糸の一本一本が生み出す陰影や、光を受けた金彩のきらめき。平面的な絵柄ではなく、豊かな表情があり眺めるほどにその美しさに引き込まれます。そんな貴重な帯を、できるだけその魅力を残しながら、今の暮らしの中でも楽しんでいただける形に製作しました。

2wayクラッチバッグはチェーンを取り外してパーティーバッグに。

バッグ底は丸く可愛らしく仕立てました。
一本の名古屋帯に込められた、当時の職人の技と美意識。
その美しさを眠らせてしまうのではなく、形を変えて今とこれからを生きる暮らしの中へ。
時代を超えて心惹きつける大胆で美しい意匠。次の物語を紡いでくれたら嬉しく思います。
