総絞りマルチケース, Japanese Kimon

今日の新作 – 着物地のマルチケース

日本の伝統的な衣服でありながら、今ではなかなか着る機会がなくなった着物。代々ゆずりうけた思い出の着物や帯は、毎日着ることがないとしても、大切にしたいですよね。今日は、「無駄なく活用する」アップサイクルの術として、着物の衽(おくみ)から作った「マルチケース」をご紹介します。

華やかな柄が入った着物は、アップサイクルには最適です。柄を最大限に活かしながら、色々なアイテムに生まれ変わります。ですが、衽のような部分は、幅が狭いので、大きな生地を取って作品に使うことができません。生地を集めても、作品をひとつ作りあげるには少々足りません。そこで、この衽を、使い勝手のよいマルチケースに作り変えることにしました。

今は、スマートフォンひとつあれば何でもできるので、大きなお財布を持って歩く必要もなくなりました。小さなマルチケースに、必要なものを収めれば、身軽に外出できます。

今回は、同じ種類のマルチケースを素材を変えながら、複数制作しました。素材は同じでも、着物の柄の出方が違えば、全く雰囲気も変わった作品に仕上がります。

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ウール着物地マルチケース

総絞りマルチケース, Japanese Kimono, Case

男性着物から作りました。カード、名刺など、ファスナーポケットには小銭などが入る大きさです。表地はウールを使用しているので、手触りが柔らかく落ち着いた雰囲気になりました。裏地には羽裏のメリンスを使用しています。茶系の裏地は、刀の鍔のような模様が入っており、男性用の着物の雰囲気をそのまま残しました。

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兵児帯マルチケース

総絞りマルチケース, Japanese Kimono, Case

昭和初期の兵児帯をアップサイクルしたマルチケースです。絞り地の柔らかな風合いを生かして、ふっくらと仕上げました。手触りがとても良いです。こちらも、裏地は茶系の柄ものを合わせました。マルチケースは、男性、女性共に性別問わずお使いいただけますが、色の組み合わせから、どちらかと言えば男性向けになるでしょうか。

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総絞り絵羽織マルチケース

総絞りマルチケース, Japanese Kimono, Case

こちらは、総絞りの絵羽織をアップサイクルしました。表地に使用した絵羽織は、職人技が光る飛び柄で、機械的に繰り返される柄とは違う味わいがあります。そこからさらに取り出した衽は、使える生地や柄も限定的です。この点が、作品のひとつひとつを唯一無二にしているのだと思います。