手元にある着物をどのように作り替えるか。アイディアが湧いてきたら、自分が納得する作品になるかどうか、実際に形にしてみます。制作するための生地は十分か、あるいは実際に使いやすい作品に仕上がったか、など、日々試行錯誤しています。
今日は、昭和の半ばに流行した男物の大島紬の着物をアップサイクルして、二つのハンドバッグを作りました。男物の着物ということで、シンプルな素材感ですが、完成したバッグも、最近ご紹介した帯地のハンドバッグとは異なり、凛々しい仕上がりになりました。大島紬をほぼ丸ごと使用しているので、ラグジュアリーな感じになりました。高級絹織物として、着る人のステータスを表すとも言える大島紬ですが、気兼ねなく使えるバッグとしてお使いいただければと思います。着物の本来の価値を失うことなく、形を変えて大切にできるのが、アップサイクルの良いところだと感じます。
使用した大島紬は、特注の着物だったと思われます。残った反物が畳紙に包まれて残っていました。正真正銘、本物の大島紬です。
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大島紬リングクラッチバッグ
こちらのクラッチバッグは、利便性に焦点をあてて、3 wayバッグにしてみました。H33 x W27 x D3 cmの大きさです。持ち手はリングをつけました。用途に合わせて、さまざまな使い方ができるように、バッグの外側にはファスナーポケットをつけました。バッグの本体にはDカンをつけてあるので、チェーンなどを合わせていただければ、ショルダーバッグとしてお使いいただけます。
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大島紬リングハンドルバッグ
リングハンドルが特徴的なこのハンドバッグは、H24 x W28 x D8 cm サイズです。マチにエコレザーを組み合わせて、単調になりがちな雰囲気を引き締めました。リングが茶色なので、バッグの裏地も昭和時代のメリンスの茶色の羽織を使用しました。バッグ口には、留め具をつけてあるので、荷物が少ないとき、あるいは、お出かけのスタイルに合わせて変形させることができます。
着物ひとつからも、アイディア次第でさまざまな作品が生まれますが、さらに作品ひとつひとつも、持っている人の使い方次第で、個性が生まれます。どんな方に使っていただけるのか、ワクワクしながらアイディアを練るのも、またアップサイクルの楽しみです。
インスピレーションが湧くままに・・・今日の工房の手仕事のご紹介でした。