名古屋帯ハンドルトートバッグ, Kimono, Obi Handbag

工房の手仕事 – 名古屋帯を使い切る!4つの作品をご紹介

欲しい時に何でも手に入る便利な世の中ですが、こんな時代だからこそ、大切なものを長く使うことや、モノを「使い切る」日本の文化を改めて考えてみると、その中で生きていることをとても誇りに思います。さて、前回のブログで、金銀袋帯からアップサイクルしたハンドバッグをご紹介しましたが、実際に、一つの帯からどんな作品を作ることができるのか、実際に4つの作品をご紹介したいと思います。

アップサイクルで使用する着物や帯は、実際に50年~100年前にも着用されていたものです。着物や帯の素材の状態は、ひとつひとつ全く異なります。ほぼ未使用の帯や着物は、どの場所や柄をとっても、作品に作り替えやすいです。一方で、頻繁に着用されていた帯などは、折り目などが見られます。実際に着用されたものなので、当たり前なのですが、作品を作るにあたっては、「最後の最後まで、帯の素材を無駄なく使い切るために、どのような大きさや形で仕上げるか」を、ちょっと考えます。

1. 名古屋帯アップサイクルポーチ

片手の手のひらに収まる小ぶりなポーチを作りました。ワイヤーを入れているので、開けたときの使い勝手が良いです。左側の幾何学模様の名古屋帯が今回のアップサイクルに使用した帯です。昭和の半ばに流行したデザインだと思われます。茶色、オレンジ、緑、黄色などが混ざって均整の取れた落ち着いたデザインが美しいです。ポーチのような小物に作り替えても、元の帯の存在感がとてもよく伝わってくる仕上がりになりました。ゴールドのファスナーが程よく調和しました。メイク道具など、たくさんある小物をまとめて入れるのにもぴったりな大きさだと思います。このままハンドバッグに入れてもコンパクトに収まります。

2. レザーくり抜きハンドルのバケツトートバッグ

名古屋帯に本革くり抜きハンドルを合わせた、バケツ型トートバッグです。H24 cm x W20 cm の小ぶりなサイズではありますが、無造作に小物を入れて持ち運ぶのに重宝します。帯自体もハリがある素材ですが、バッグの底には底板を入れたので、バッグが空の状態でもしっかりと自立します。バッグの裏地には、オレンジ色の正絹の襦袢生地を使用しています。実はどのような色とも相性が良い帯です。くり抜きハンドルをメインにしてお使いいただけますが、サイドにタグがついているので、チェーンなどを合わせていただければ、2wayのショルダーバッグとしてもお使いいただけます。柄の見え方が変わると、同じ帯でもまた違った雰囲気になります。

3. 総絞り帯のコンビ巾着トート

こちらの巾着トートバッグは、名古屋帯地と兵児帯の絞りを使って作りました。兵児帯と名古屋帯の模様の切り替え部分に挟んだパイピングを黄色で合わせて、全体的に統一感が出るようにしました。上のバケツトートと同じく、やや小ぶりなバッグです。(H19 cm x W18 cm) 素材感の全く違う帯の組み合わせですが、ハリのある名古屋帯と、ホイップクリームのような柔らかい素材感の兵児帯のコンビネーションがうまくマッチしました。絞り帯を使うと、より「和」の雰囲気が出ると思いますが、和装洋装、正装、どのようなシーンでもお使いいただける巾着トートバッグです。
持ち手は、帯の紫の裏地を使用しています。無地のダークな紫色が、名古屋帯の幾何学模様を引き立てます。

4. 名古屋帯数寄屋袋

さて、4つ目にご紹介するのは、Himizuyaの定番作品のひとつである、数寄屋袋です。名古屋帯を生地を最後までしっかり使い切って仕上げました。裏地には、ピンク色の絹の羽織を合わせることで、蓋を開けた際に明るい色が目に留まるようにしました。普段、「ハンドバッグの中が、ごちゃごちゃとしてしまう・・・」という方には、ぜひバッグインバッグとして活躍する、数寄屋袋やポーチがオススメです。

名古屋帯を使い切る!4つの作品のご紹介でした。同じ帯から生まれた作品でも、形や他の素材との組み合わせで、全く別の個性をもった作品になります。使っていただける方の生活に、しっくりと馴染むような作品を、これからも作っていきたいと思っています。