Japanese kimono, obi

工房の手仕事 – 帯地を解く作業の裏側で

表と裏。

いずれの作品にも、制作に適した素材というのがあります。
気に入った帯や着物を、どんなものにでも作り変えることができればいいのですが、「素材の風合いを損ねないように」あるいは、「十分な耐久性を持たせることが可能か」ということを考慮した際に、あまりにも古い帯だと生地が弱っているため、残念ながら制作には向かない、ということもあります。

アップサイクルで何か新しいものに作り変える作業は、実は、その着物や帯がどんな時代を生きてきたのか、過去の時間と向き合うことでもあります。

帯を解く作業は、それなりに時間がかかりますが、時代と向き合う楽しい作業です。

華やかな表。職人技が光る裏。

帯を解く作業は、まず、帯の裏の織り糸を丁寧に落ち着かせることから始めます。また、帯の強度などを見ながら、帯本来の風合いを損ねないよう、帯地の厚を考慮しながら、補強に適した芯を使い分けていきます。

丸帯表 - Maruobi front
丸帯裏 - maruobi back

華やかな場にふさわしい刺繍帯

刺繍が美しいこの帯は、町屋のお嬢様がお正月に締めたような、当時の流行ものです。裏糸が多く渡っていて、表の柄の美しさにも納得です。
優しいオレンジ色に、カラフルな花々がよく映えます。

この帯が、どんな作品になったのかは、また後日ご紹介します。