この2つの信玄袋、どちらも同じように見えますか?
一見すると同じように見える青い信玄袋ですが、「ハレとケ」の違いがあります。工房にある男物の着物をいくつか解いていた際、亀甲柄の着物を見つけました。男物の着物は女物とは違ってシンプルなものが多く、柄や色も華やかさはありませんが、素材によって、「よそ行き」と「普段着」が使い分けられます。この上の画像の2つの信玄袋のうち、左側が塩沢紬の着物(ハレ)、右側が交織の着物(ケ)になります。
塩沢紬信玄袋
塩沢紬は、結城紬・大島紬とともに手織り3大紬と称される伝統織物のトップブランドです。塩沢4大織物(越後上布・塩沢紬・本塩沢・夏塩沢)の1つとして、奈良時代より続く麻織物「越後上布」の技術を江戸時代に絹織物に応用して考案されました。大正時代の頃から麻織物より生産量が多くなりましたが、第二次世界大戦の勃発により、贅沢品として生産が制限された歴史があります。
ウール着物地信玄袋
同じ信玄袋の写真を2回載せたわけではありません!こちらの信玄袋は、男物ウールアンサンブルの着物から作りました。「交織」の生地で、縦糸が絹、横糸がウールで織られおり、普段着として着用されていました。艶のある正絹とはまた違った生地の柔らかい風合いが楽しめます。
話は変わりますが、アップサイクルに使う着物には色々な種類がありますが、それらが本物であるか、あるいは、今回のように同じ亀甲柄の着物でも、それぞれがどのような素材なのかを知る為には、購入時の情報やラベルが役に立つのはもちろんですが、せっかくなので、手持ちの着物の素材を探り当てるために、ちょっと実験してみました。
正絹、交織、人絹、綿、ウール、化繊を燃焼させて様子を観察しました。
正真正銘の正絹は、見た目の美しさだけではなく、生地もやはり本物でした・・・。燃えません。
もちろん、他の生地についても、ウールだから、あるいは交織だから品質が劣るというわけではなく、素材の違いがハレとケの使い分けにつながります。知れば知るほど、着物文化は奥が深く、大切なことは目に見えないところにあると知った、今日の手仕事でした。
こちらの信玄袋は、ショップで取り扱っていますので、ぜひチェックしてみてください。