ハンドバッグ

工房の新作 – カジュアルに使える利休バッグを目指して

うだるような暑さが続きますね。
工房では、この時期が着物の虫干しや解体、洗濯作業でてんてこ舞いの日々を過ごしています。

さて、Himizuyaではこれまで、帯地を使ってアップサイクルした作品を多数制作してきました。袋帯・なごや帯・博多帯・綴れ帯・半幅帯などを使用して、さまざまなアップサイクル作品に生まれ変わってきました。

それぞれの帯の特徴として、丸帯は表裏どちらも同じ布で作られているので、帯全体に柄が織り出されていますが、そのほかの帯は無地裏なので、帯をアップサイクルをする中で手元に増えてきた布地をアップサイクルするにはと、しばらく試行錯誤していました。

ある時、この無地裏を集めて、利休バッグにしようと思い立ち、何度か試作を繰り返して、ようやく利休バッグが完成しました。


最初に作ったのがこちらの利休バッグです。帯地裏の白と白大島麻の葉紋様を組み合わせました。薄い緑色が夏にぴったりです。持ち手も白にすることで、全体にまとまりが出ました。

横 25cm × 縦15cm × 幅 10cmなので、使いやすいサイズに仕上がったと思います。

利休バッグと聞くと、使用する場所が限定されるのであまり普段使いできないのでは、と思われるかもしれませんが、小ぶりで上品なアイテムになりましたので、気軽に使っていただけます。
バッグの収納スペースはファスナーの開閉部と外側にはあおりのポケットが二つありますので、隠れた収納力があります。

古き良き着物地をアップサイクルして作った個性的なバッグに仕上がりました。
一つ一つ異なる柄と色味で世界に一つの自分だけのオシャレが楽しめます。
布の手触り、柄の流れ、色の深み、時を超えて蘇った着物や帯が日常に寄り添うバッグとなりました。

時間をかけて試作を重ねて、実際に制作に取り掛かってみるとやはり、その奥深さには圧倒されます。
一見シンプルに見えるのですが、細かいパーツがいくつも組み合わさっています。
綺麗なシルエットを出す為の芯材の厚み、固さの調整と貼り込み作業には手を抜けません。
たった一つのバッグに、多くの手間と技が詰まっていることを改めて知ることになりました。

布を触る手の温度を感じながら、縫い目に心を込めて、ゆっくりゆっくりと作業を進めています。
「早く完成させたい」と思う日もありますが、それ以上に「丁寧でありたい」という気持ちを大切にしています。
一針一針が、美しい仕上がりへの積み重ねだと思っております。
このバッグが、誰かの日常の中でそっと寄り添う存在になることを願って――。

まだまだ暑い日が続きますので、水分補給を忘れずに、皆様元気にお過ごしくださいね。